ナンバー取得の前に購入したチンクをじっくり観察することにします、なんせ筆者のチンク体験は10年前に助手席に乗せてもらっただけですからね、ほとんど初体験同然なんです。
の前に、簡単にチンクのヒストリーなど。
筆者はチンクと呼んでますが、正式名は「 FIAT500 」ってゆーとってもシンプルな車名です。
これは1955年に発売された新型FIAT600(600cc、水冷4気筒、RR駆動)の設計思想を基本に、もっと小さくてより安価なモデルとして、ダンテ・ジアコーサが1957年に世に送り出した車になります。
フィアット初の空冷式エンジンとなる直列空冷2気筒OHV500ccをリアに縦置きし、エンジンの前方にギアボックスを置くという配置で、全長2970mmに大人4人が乗り込むスペースを実現しました。
一般には、戦前にあったフィアットの名車「 500トッポリーノ(Topolino)」と区別するために、ヌォーバ(新型)チンクェチェント(イタリア語で500の意)と呼ばれています。
その後1960年に500Dへとチェンジし、1965年に500F、1968年に500L、1972年に500Rと進化し続け、1976年の生産終了までの20年間にわたりイタリアの大衆車として人気を博しました。
ドイツのビートル、イギリスのミニ、フランスの2CV、イタリアにはチンクェチェント、ってカンジですかね。
ちなみに各モデル別の差異はたくさんあるので書ききれません、チンクの本は鬼のように数多く出版されてますので、興味のある方はどうかそちらで学習してください。(笑)
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500cc空冷2気筒18馬力 |
右ハンドルです |
で、筆者のチンク。
先にも書きましたが、車体番号から推測されるに1965年式の500Fらしいのですが、車検証による初年度登録は平成12年と明記されてるので、どうやらその頃日本に上陸した様子です。
一番の特徴は右ハンドルなこと、どうやらイギリスかアイルランド仕様のチンクだったみたいです。
前オーナーによる説明では、ボディは塗装剥離した上で錆止めしFIAT純正色の黄緑色(Verde Chiaro)にて全塗装し、再利用できないパーツは新品にしてあるそうです。
ミッション、エンジンあたりはOHで対応、キャブやダイナモ(チンクはオルタネーターじゃなくてダイナモ!自転車か?!)などもOHで対応されてます。
基本的に各所オリジナルに近い状態で組み上げてあり、異なっている箇所は点火コイルを同爆してプラグコードを永井電子のウルトラ化へ変更、ウインドウオッシャーを従来のゴムポンプ式(!)から電動式に変更されています。
さらには従来仕様だと使いにくいためウインカーレバーを左から右側に移設されています。
また、カセットデッキが国産車の物を流用して装着されていました。
前オーナーさんは、なるべく純正にこだわりつつも、当面は手がかからなく維持できるようにした、と言ってくれましたが・・・。
もちろん細かいトラブルは覚悟せねばなりませんね。(笑)
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シートベルトなんてありません |
ガソリンタンクはフロントです |
観察するに、さすが剥離してのオールペペイント後なので見た目はとても綺麗です、目に付く錆も一切ありません(深部で進行してるかもしれませんが・・・)。
ただサイドウインカーやドアハンドルなどのパーツが古いままなので、鮮やかすぎるボディーとちょっとチグハグな印象になっています。
ここらへんは今後のお楽しみってところでしょうか。
内装はフロアカーペットが新品だし前後のシートもきちんと張り替えてあります。
シンプルなメーター回りも美しく仕上がっているので、クルマの状態的には非常に満足しています。
筆者はなるべくオリジナルのチンクに乗ってみたかったので、これくらいのレストアなら大歓迎です。
よく現存するチンクは排気量が590やら650ccにボアアップされた個体が多いのですが、このチンクは純粋無垢の500ccのままです。
500ccという排気量もさながら、はたして40年前のピッコロなイタ車が現代の交通事情に耐えうることができるのかどうか?
18馬力しかないエンジン、エアコンなんてもちろんない、ギアはノンシンクロ、シートベルトもない、などなど不安がてんこ盛りです。
このチンクで街を走り出すなんて、考えただけで心臓がバクバクしてしまいますね。(笑)
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