2004年3月スイスのジュネーヴショー。
フィアットのブースに小さなコンセプトカーが出展されました。
その名はトレピウーノ(Trepiuno)。
一目で往年の名車フィアット500のリバイバルとわかります。
時代的にフォルクスワーゲンの新型ビートルがヒットし、BMWになっちゃったけど新型MINIがヒットしています。
元来小型車が得意なフィアットがこれをほっとくわけにはいきません、アンテナ的コンセプトモデルながら快心のプレミアム・コンパクトカーです。
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トレピウーノ |
そのアンテナ的コンセプトモデルは専門家や一般ユーザーに大きな賞賛を浴びました。
その後開催されたイギリスでのバーミンガムショーや、欧州各地の自動車ショーでも大絶賛されたようです。
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トレピウーノ・プレスリリースカタログ(筆者のお宝です) |
トレピウーノ自体の開発はお披露目した2004年ジュネーヴショーの1年前から始まったそうです、つまり2003年。
開発テーマは「小さなボディに広い室内」だったそうな。
フィアットのアイディンティティですね、真骨頂です。
そのモチーフに選ばれたのがフィアット500(旧型)であり、その愛くるしい名車を現代版に昇華させるというプロジェクトになったそうです。
最大の特徴は「トレピウーノ」という車名の由来にもなってるシートアレンジです。
「トゥレ」は「3」、「ウーノ」は「1」。
つまり小さいボディでありながら、3+1シーターであるというのがコンセプトであり、車名にもなっているのです。
通常は2+2で後席は子供用。
大人が3人乗る時は、助手席前のインパネを格納させて後席に大人が座れる空間を作り出します。
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3+1のシートアレンジ |
トレピウーノの全長は3300mm。
参考ながら、旧フィアット500は2700mm、ダイハツのミラが3395mm、2シーターのスズキのツインが2735mmです。
旧フィアット500より300mm長くなっていますが、充分に小さいと言える外寸ですね。
最終的にトレピウーノは2台作られました。
写真撮影用のモックアップモデルと、実走可能なモデルです。
実走モデルには当時パンダやプントに搭載されていた1.3リッターのマルチジェット・ディーゼルエンジンが積まれてたらしいです。
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プレスカタログの中身 |
市場の圧倒的な大反響により生産化が具体化します。
2004年10月には早くもトレピウーノ生産計画が発表されました。
この時すでに生産車に「トレピウーノ」の名は使わないとも発表されています、単に造語でしたから。
2005年9月には新型パンダ(現行パンダ)をベースに生産するとの発表があり、そのプラットフォームは新型フォード・kaとして欧州フォード社へ提供することも決定しました。
この頃フィアットの公式サイトには「発売まで500日」のカウントダウンが表示されるようになりました。
逆算すると2007年3月のジュネーヴショーでの発売を目指していたようです。
2007年2月に正式発表は9月15日(イタリア本国)であると発表されましたが、その後7月4日へ変更と2ヶ月以上も前倒しされました。
7月4日。
フィアットには特別な日です。
旧フィアット500の発売は1957年7月4日。
そう、ぴったり50年なのです、50周年であり、50年目の復活。
心憎い演出ですね。
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